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CULTURE 4分で読める

走行距離だけじゃ中古車は測れない。10万km超でも「いい個体」がある理由

3万kmなら安心だけど、10万km超えはちょっと…。
中古車選びでは、走行距離が大きな判断材料になります。

ただ、その数字からわかるのは、これまで何km走ってきたかということ。どんな整備を受け、何を交換し、どのように使われてきたのか。さらに、現在どこに傷みがあるのかまでは見えてきません。

走行距離は、中古車を知るための大切な情報です。けれど、それだけで良し悪しまで決められるわけではありません。

どれだけ走ってきたかではなく、いかに扱われてきたか

そもそも走行距離とは、そのクルマがこれまで走ってきた総距離です。どれだけ使われてきたかを知るには、これ以上なくわかりやすい数字でもあります。

3万kmと10万kmが並んでいれば、前者に安心感を覚えるのは自然なこと。ただ、10万kmという数字を、消耗の量としてだけ見るのは味気ありません。

少なくとも、そのクルマには10万km走らせるだけの魅力があった。気に入って乗り続けたのか、毎日の足として頼られていたのか。距離が伸びた理由はそれぞれです。

そして、ここからが中古車選びの本題です。

同じ10万kmでも、定期的に整備され、必要な部品を交換してきたクルマと、手入れを先延ばしにしてきたクルマを同じようには見られません。低走行でも、整備歴が曖昧なら数字だけで安心とは言い切れない。

「修復歴なし」といった表記も大切な判断材料ですが、その文言だけで来歴すべてを説明できるわけではありません。

整備記録は残っているか。必要な部品は交換されてきたか。その履歴をたどって、はじめてどう扱われてきたのかがわかります。

中古車屋はどこを見て良し悪しを判断しているのか

中古車屋が確認するのは、過去の履歴だけではありません。いま機械としてどんな状態にあるのかも、実車を見ながら確かめていきます。

オイルや冷却水に漏れや滲みはないか。ブレーキや足まわりはどれほど消耗しているのか。タイヤに亀裂や偏った摩耗はないか。エンジンのかかり方や、低速時、加速時に異常はないか。TBCCの車両診断でも、こうした走行距離だけでは判断できない箇所を確認しています。

オーラというと怪しいですが、ボンネットの上に紫色の何かが見えているわけではありません。見ているのは、そのクルマに残された痕跡です。

ここで分けて考えたいのが、整備履歴と現在のコンディション。過去にきちんと手を入れられていても、いま交換を必要とする部品はあるかもしれません。反対に、距離が伸びていても、必要な整備を重ねながら走ってきたクルマはあります。

つまり、中古車の良し悪しは、ひとつの数字や項目だけでは決まりません。どう扱われてきたのかを履歴から読み、現在の状態を実車で確かめる。その両方を重ねながら、一台ずつ判断していきます。

個人売買で受け渡すのは、クルマだけではない

長く乗ってきたオーナーには、その人だからこそ知っている履歴があります。いつ何を直したか、どこをカスタムしたか、これまでどんな不具合があったのか。一方で、愛車を機械として客観的に診断し、その内容を買い手へ説明するのは簡単ではありません。

TBCCの個人売買仲介は、売り手と買い手をつないで終わりではありません。オーナーが知っている過去に、整備士が確認した現在のコンディションを重ね、次のオーナーが判断するための情報を整理します。

車両診断では、法定2年定期点検の項目をベースに、エンジンや冷却系、ブレーキ、足まわり、タイヤなどを確認。修理歴や交換された部品、把握している不具合も含めて、そのクルマについてわかっていることをまとめていきます。

目的は、問題のないクルマであることを証明することではありません。中古車の先々まで保証することはできないからこそ、売買する時点で何がわかっていて、どこに注意が必要なのかを明らかにしておく。

クルマだけでなく、その一台についてわかっていることまで次のオーナーへ受け渡す。TBCCが個人売買を仲介するうえで、車両診断を行う理由はそこにあります。

走行距離も、そうした情報のひとつです。10万kmなら、それに応じて確認したい箇所も増えていく。それでも数字だけで候補から外してしまえば、どんな整備を受け、どこに手が入り、現在何を抱えているのかを知る前に判断を終えることになります。

10万kmだからナシと決めるのではなく、10万kmだからこそ詳しく見る。走行距離を答えではなく入口として、その先にある履歴と現状まで確かめる。中古車を一台ずつ見るための物差しは、そこから増えていきます。

Photo: Tomoro Nakasuji/Instagram @tomoro
Edit: Kanta Hisajima