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フォルクスワーゲン ゴルフⅡ 維持費
CULTURE 5分で読める

たかだか維持費、ガタガタぬかすな? 古い外車は金食い虫なのか、ゴルフⅡのリアルな数字から考える

古い外車が欲しい。そう思ったとき、車両価格の次に気になるのが日々の維持費です。

ガス代、保険、税金、そして修理代……年式が古いうえに輸入車ともなれば、買うことはできても、維持できるのかと不安になるのも当然。実際のところ、古い外車はどれくらい金食い虫なのか?

今回参考にするのは、TBCC代表・南部が約10年所有する1991年式フォルクスワーゲン・ゴルフⅡ。左ハンドルのMTで、購入価格は約170万円。燃費は10km/Lほどで、よく乗っていた時期は年間1万km弱を走っていたそう。

このリアルな実例から、古い外車=とにかく維持費が高いというイメージを考えてみます。

維持にかかる費用で、いちばん読めないのは修理代

ガス代や税金、保険料は、使い方や車種がわかればある程度の見当をつけられます。

たとえば、ゴルフⅡを月800kmほど走らせるなら、燃費10km/Lとして必要なガソリンは約80L。使用燃料はハイオクなので、あとはその時々の単価を掛ければ、おおよその金額は計算できます。

一方、簡単には計算できないのが修理代。

10年所有しているゴルフⅡは、年間の整備および修理費で20万円を超えたことはないといいます。オイル交換程度で一年を終えた年もある。ただし、購入直後には45〜50万円ほどをかけ、消耗品を一通り交換しています。

つまり、同じクルマでも毎年同じ金額がかかるわけではない。まして、別のゴルフⅡならなおさらです。

同じ35歳でも、健康状態は人によって違います。定期的に身体を診てもらってきた人と、何十年も健康診断を受けていない人を、年齢だけで同じ状態とは判断できません。

古いクルマを見るときも、重要なのは年式だけではなく、それまでどんな整備を受けてきたか。購入時に状態を把握し、今後手がかかりそうな場所を知っておけば、トラブルに備えることもできます。

古いクルマに100点満点の安心を求めるのは難しい。それでも、定期的に点検を続ければ、小さな不調の段階で対処できる可能性は高まります。

維持費を抑えるために必要なのは、壊れない個体を祈って探すことより、いまの状態をちゃんと知ることです。

中古車価格だけで、維持費まで判断するな

もうひとつ、維持費を考えるうえで覚えておきたいことがあります。

それは、中古車価格と修理にかかるお金は必ずしも比例しないということ。

中古車の値段は、人気や希少性によって大きく変わります。かつて手頃だったクルマにプレミアがつくこともあれば、新車時には高価だったモデルが100万円台まで下がることもある。

しかし、車両価格が下がったからといって、交換する部品まで安くなるわけではありません。

見るべきなのは、そのクルマが新車だった頃にどんな立ち位置だったか。もともと大衆車としてつくられたクルマと、高級車としてつくられたクルマが現在同じ価格で売られていても、部品代まで同じとは限らないのです。

さらに、どれだけ売れたクルマなのかも重要です。

新車当時に多く販売され、いまも世界中に個体が残っているモデルなら、それだけ補修部品の需要があります。純正部品だけでなく、サードパーティー製やリビルド品まで選べれば、修理方法にも幅が出る。

スマートフォンに置き換えるとわかりやすいでしょう。流通量の少ない端末は、数年後にバッテリーを探すだけでもひと苦労。一方、世界中で普及した機種なら、補修部品も見つけやすい。

維持費を見るなら、「古い」「外車」という括りだけでは足りません。そのクルマがどう生まれ、どれだけ売れ、いま何の部品が手に入るのか。値札の先まで見ておきたいところです。

維持費はクルマを諦める理由になり得ない

ここまで見てくると、古い外車が金食い虫なのかという問いに、ひとつの金額で答えることはできません。

修理費が読みにくいのは事実です。ただ、それを左右するのは「外車だから」「古いから」だけではない。個体の状態や整備歴、部品の流通によって、付き合いやすさは大きく変わります。

もちろん、維持費を無視していいわけでもありません。税金も払うし、保険にも入る。ガソリンも必要で、古いクルマなら修理への備えも必要です。ただ、「払えない」と「なんとなく高そうだからやめておく」は、分けて考えた方がいい。

たとえば、欲しいクルマがハイオク指定でも、週末を中心に乗るならレギュラーとの差額は月に数千円で収まることがあります。その金額を理由に欲しい1台を諦めるなら、見ていないサブスクやスマートフォンの料金など、ほかの出費も一度並べてみたいところです。

節約しましょう、という話ではありません。何にお金を使いたいのかを、自分で決めるという話です。

クルマが横にあれば、週末の行き先が変わる。誰かを迎えに行けるし、夜中に思い立って遠くまで走ることもできる。その時間まで含めてクルマの価値だと考えるなら、維持費だけを切り離して損得を決めるのも違うでしょう。

だからこそ、古いクルマでは「いくらかかるか」を延々と予想するより、まず目の前の1台がどんな状態なのかを知ることが大切です。TBCCでもヤングタイマーを扱う際には車両診断を行い、現在の状態や、この先考えられるリスクを確認したうえで販売しています。

人間でいえば、健康診断を受けた状態で迎え入れるようなもの。未来の故障までなくせるわけではありませんが、少なくとも何も知らずに付き合い始めるよりは、ずっと心構えができます。

とはいえ、予測できないからこその不測の事態。いっそ「たかだか維持費、ガタガタ抜かすな!」くらいのマインドでカーライフを楽しむことをおすすめします。

Photo: Tomoro Nakasuji/Instagram @tomoro
Edit: Kanta Hisajima