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なぜ都会のクルマ選びは車幅1800mmが基準なの?|永井先生の自動車講座

欲しいクルマが見つかると、自宅の駐車場に入るか、近所の細い道を通れるか、いつものスーパーで困らないか。まだ買ってもいないのに、頭の中で何度も車庫入れをしてしまいます。

そんなクルマ選びで、ひとつの目安としてよく聞かれるのが「車幅1800mm」です。カタログに並ぶ全長、全幅、全高のなかでも、都会で暮らすなら全幅は特に無視できません。

数センチ広くなったところで、それほど変わらないようにも思えます。しかし、駐車場や狭い道では、そのわずかな差が意外と効いてくるのです。

1800mmは、駐車場に入るかどうかの境目

車幅1800mmが意識される大きな理由は、機械式駐車場にあります。都心部のマンションや商業施設には、入庫できるクルマの全幅を1800mm前後に制限している設備が少なくありません。

目的地の近くでようやく見つけた駐車場が機械式だった。マンションの駐車場に空きはあるけれど、自分のクルマが入る区画は埋まっていた。都会では、クルマが大きいほど駐車場所の選択肢が減ることがあります。

もちろん、すべての機械式駐車場が1800mmまでというわけではありません。最近は大型車に対応した設備も増えています。それでも、古いマンションや小規模な駐車場まで含めると、1800mmを超えるかどうかがひとつの分かれ目になりやすいのです。

自走式の駐車場でも、幅が広ければ必ず快適とは限りません。区画に収まっても、隣のクルマとの間隔が狭く、ドアを開けるたびに気を使うこともあります。

数センチの余裕が、運転の気持ちを軽くする

僕が乗っているメルセデス・ベンツ W124の車幅は1740mmです。決して小さなクルマではありませんが、都心の細い道や狭い駐車場では、この幅に助けられることが何度もあります。

対向車とすれ違うときも、自分のクルマの幅を把握できていると、必要以上に怖がらずに済みます。道幅に対してどれくらい余裕があるのかを想像しやすくなり、運転にも落ち着きが生まれます。

TBCCで取り扱うことの多いフォルクスワーゲン ゴルフ2は1665mm。四角いボディをしているため、運転席からクルマの端もつかみやすい一台です。

ジープ・チェロキー XJも、ワイルドな見た目に反して純正の車幅は1765mm。大きく見えるクルマでも、数字を確認すると意外に都会との相性がいいことがあります。

反対に、見た目はコンパクトでも、フェンダーが張り出していて1800mmを超えるクルマも珍しくありません。クルマの大きさは、写真から受ける印象だけでは判断できないのです。

もちろん、1800mmを超えること自体がデメリットというわけでもありません。車幅に余裕があることで、室内をゆったり使えるクルマもあれば、ワイドなプロポーションそのものがデザインのかっこよさにつながっているモデルもあります。高速道路を長く走るなら、大きなボディのどっしりとした感覚が心地いいことだってあるでしょう。

つまり、1800mmは「ここを超えたら乗りにくい」という境界線ではなく、クルマと自分の生活との相性を考えるためのひとつの目安です。

近年のクルマは、安全性能や室内空間を確保するために大型化しています。ひと昔前のモデルと比べると、同じ車種でも車幅が広くなっていることがあります。1800mm以下だから正解、超えているから都会では乗れない、という単純な話ではありません。

大切なのは、自分がどこを走り、どこに停めるのかを知っておくこと。自宅の駐車場、近所の道幅、よく行く店の駐車場。そこにクルマのサイズを重ねてみれば、1800mmを超えていてもまったく問題がない人もいれば、数センチの違いが日々の気楽さにつながる人もいます。

車幅1800mmは、クルマを選別するための数字ではありません。その一台が自分の生活に馴染むかを考えるための、分かりやすいものさしです。

見た目の印象だけで「大きそう」「小さそう」と決めつけず、まず数字を見てみる。すると、意外と扱いやすい一台が見つかったり、逆にコンパクトに見えていたクルマの意外な大きさに気づいたりする。車幅を知ることも、自分に合ったクルマを選ぶためのひとつの知識なのです。

1800mmは、生活との相性を測るものさし

近年のクルマは、安全性能や室内空間を確保するために大型化しています。ひと昔前のモデルと比べると、同じ車種でも車幅が広くなっていることがあります。

そのため、1800mm以下だから正解、超えているから都会では乗れない、という単純な話ではありません。自宅の駐車場が広く、よく通る道にも余裕があるなら、車幅の広いクルマでも不自由なく暮らせます。

大切なのは、自分の生活のなかでどこを走り、どこに停めるのかを想像することです。自宅周辺の道幅、マンションの駐車場、よく行く店の区画。クルマを見る前に、自分の行動範囲を一度見直してみると、必要なサイズが見えてきます。

車幅1800mmは、絶対的な正解ではありません。ただし、都会でクルマを選ぶときには、駐車場の選択肢や運転中の気疲れを左右する、分かりやすい安心ラインです。

馬力やデザインだけでなく、いつもの道を気持ちよく走れるか。クルマの幅を知ることは、その一台が自分の生活にきちんと馴染むかを考えることでもあるのです。

Photo:Tomoro Nakasuji/Instagram@tomoro
Edit:Kanta Hisajima